【第2回コラム】運動する子が「お友達と仲良くできる」のはなぜ?脳科学から紐解く思いやりのヒミツ
「まわりの子たちの輪に入っていけない、集団になじめない」
「いつも一方通行で、マイペースでお友達とうまく関われない」
「お友達と遊んでいると手が出てしまう」
こういったお悩みありませんか?
こういったお友達との関わりを社会性(ソーシャルスキル)などとも言います。
子どもの社会性を育て「思いやりの心」や「お友達と協力する力」を育てる一番の近道は、実はたくさん運動をすることです。
社会性は「心の優しさ」という性格や気分の問題だと思われがちですが、最新の脳科学では、脳の最重要拠点である「前頭前野(ぜんとうぜんや)」という部分の働きが大きく関係していることが分かっています。
■なぜ?運動が社会性に必要なのか
お友達と仲良く遊ぶためには、自分のワガママをグッとこらえたり、相手の気持ちを想像したりする「高度な脳のパワー」が必要です。
頭のおでこにあたりの中に脳の前頭前野という組織があります。
前頭前野には、本能的な怒りやパニックを抑える「心のブレーキ役」の機能があります。専門的には衝動抑制機能ともいいます。
子どもがお友達と話し合ったり、ルールを譲り合ったりするとき、このブレーキがフル稼働しています。この前頭前野を最も効率よく刺激し、鍛えてくれるのが運動なのです。しっかり運動している子は、脳のブレーキがよく効くようになるため、感情をコントロールして周りと上手に関わることができるようになります。
■運動しているときに脳の中で起きていること
では、運動しているとき、子どもの脳の中では一体何が起きているのでしょうか。神経科学の視点から見ると、3つの大きな変化が起きています。
①脳の肥料「BDNF」でブレーキが強くなる:運動をすると、脳の中で「BDNF(脳由来神経栄養因子)」という、いわば“脳の肥料(栄養)”がたっぷり分泌されます。これにより前頭前野の神経細胞が元気に育ち、感情を抑えるブレーキが壊れにくくなります。
②「神経ネットワーク」が繋がり、心にゆとりが出る:運動習慣は、脳のあちこちを結ぶ通信ケーブルのような(神経ネットワーク)を太く、速くします。情報の処理スピードが上がるため、自分の意見を通すだけでなく、「相手はどう思っているかな?」と一歩引いて考える心の余裕(スペース)が生まれます。
③お友達と脳の働きが「シンクロ(同期)」する:運動によって脳のインフラが整うと、相手の表情や声のトーンを素早くキャッチできるようになります。最近の研究では、運動している子ほど、人と接したときに相手の脳の動きと自分の脳の動きがピタッとシンクロ(脳間同期)しやすくなり、スムーズに信頼関係を築けることが分かっています。
まさに、運動によって脳という「ハードウェア(機械)の性能」が良くなり、スポーツなどを通じて「ソフトウェア(他者との関わり方)」を練習している状態なのです。
■今日から、今すぐできること
だからこそ、今日から「ちょっと息がハァハァする運動」を日常に取り入れましょう!脳にしっかり栄養(BDNF)を届けるには、少し息が上がるくらいの中強度の運動がベストです。さらに、1人で走るよりも、鬼ごっこやボール遊び、ダンスなど「お互いに目を合わせ(アイコンタクト)、ルールがある遊び」を選ぶと、前頭前野のネットワークがさらに刺激されます。
体を動かす時間は、将来子どもが社会で生き抜くための「最高の脳トレ」になります。